遺伝子診断とは?
患者さんが病気の原因となる遺伝子をもっているかどうかを調べ、遺伝性疾患であることをはっきりさせることです
監修:自治医科大学医学部 生化学講座 病態生化学部門
教授 大森 司 先⽣
遺伝性疾患をもっていると考えられる患者さんが遺伝子治療を行う際には、まずその原因遺伝子をたしかにもっているかどうかを特定するための検査が必要となる場合があります。その遺伝性疾患の原因遺伝子が明らかになっている場合は、患者さんの遺伝子を調べることでその遺伝性疾患であることをはっきりさせることができます。これを遺伝子診断といいます。
遺伝子診断を⾏うための検査は遺伝学的検査(DNA検査)といい、採⾎をしてDNAを取り出して調べます。遺伝子は約20,000個1)あるといわれており、血液検査などのように多くの項⽬を⼀度に調べることはできません。そのため、患者さんの遺伝性疾患の原因遺伝子がわかっていることが大前提となります。ただし、がんの遺伝子検査では、複数の遺伝⼦を一度に調べることができる「がん遺伝子パネル検査」が行われることもあります。
1) 米国立生物工学情報センター(NCBI)NCBI Homo sapiens Updated Annotation Release 109.20211119(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/annotation_euk/Homo_sapiens/109.20211119/)
DNA検査はこの10年で解析技術が格段に進歩し、短時間で、費用も比較的安く行えるようになっています。また、唾液で遺伝子を調べられるようにもなってきました。
DNA検査で調べられることは、遺伝⼦治療のための検査のほかにも、遺伝性疾患を発症した家族がいる場合などに自分が将来、同じ病気を発症する可能性はあるか、あるいは自分が遺伝子の変異をもっているかどうかなども調べることができます。
検査にかかる費⽤には幅があり2〜3万円ですむ場合もありますが、10万円以上かかる場合もあります。現在いくつかのDNA検査には健康保険が適用されています。ただし、健康保険が適⽤されていない場合は研究として行うか、自費負担となります。詳細につきましては、医療機関にご確認ください。 注:疾患によっては、遺伝子診断を行わないで遺伝子治療を行うこともあります。
自治医科大学附属病院 腫瘍センター
https://www.jichi.ac.jp/hospital/top/various/01.html 2021/12/24参照