用語解説
遺伝子治療に関する用語を解説しています。
監修:自治医科大学医学部 生化学講座 病態生化学部門
教授 大森 司 先⽣
用語 | 解説 |
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アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター | ウイルスベクターの1つで、⾮分裂細胞にも導⼊が可能です。ウイルスベクターの多くは病原性をもっていますが、AAVベクターは病原性がないため安全性が⾼く、また、さまざまなタイプ(血清型)があるため細胞の種類によって使い分けることができます。 |
CAR-T細胞療法 | ヒトに備わっている免疫機能だけでは死滅させることができない難治性のがんの治療法の1つです。患者さんのT細胞を取り出し、遺伝⼦技術によってCARという特殊なたんぱく質をつくり出す細胞に改変し、これを患者さんのからだに戻すことにより治療を⾏います。 |
DNA | デオキシリボ核酸の略称です。遺伝⼦の本体となるもので、ウイルスの⼀部やすべての⽣き物の細胞に存在します。 |
RNA | リボ核酸の略称です。DNAの必要な遺伝⼦部分を⼀時的にコピーして核の外へ持ち出し、たんぱく質をつくらせます。DNAと同じように、A(アデニン)、T(チミン)(U(ウラシル))、C(シトシン)、G(グアニン)という塩基からできています。 |
遺伝性疾患 | 遺伝⼦の異常(変異)により発症する病気です。親が染⾊体に異常をもっていて⼦に遺伝する先天性のものと、染⾊体や遺伝⼦の突然変異によって発症する後天性のものがあります。 |
ウイルスベクター | ウイルスの強い感染⼒を利⽤して、体内や細胞に遺伝⼦を導⼊する運搬体のことです。医薬品として⽤いられる場合は、感染能⼒以外の問題となる機能は取り除かれ、安全なものとして使⽤されています。 |
塩基 | 酸と反応して塩(えん)を⽣じる化合物を指します。DNAを構成する主な成分です。 |
幹細胞 | ⾎液、⽪膚などは常に細胞が⼊れ替わっています。幹細胞はその元となる細胞で新しい細胞をつくり、補充する能⼒をもち、からだの組織を⼀定に保っています。 |
⾎液凝固因子 | ⾎液が固まるのに必要な因⼦で、第Ⅰ因⼦(フィブリン)、第Ⅱ因⼦(プロトロンビン)などの13種類が知られています。これらの因⼦が順番に働いて⾎液が固まります。 |
⾃由診療 | 健康保険などの公的医療制度が適⽤されない診療のことです。⾃費診療と呼ばれることもあります。費⽤は患者さんが全額負担することになります。 |
神経伝達物質 | 神経細胞の末端から放出され、神経細胞や筋⾁細胞などを興奮させたり、働きを抑えたりする作⽤を起こす化学物質の総称です。ドパミン、セロトニン、アドレナリンなどの10数種類が知られています。 |
⾮分裂細胞 | 分裂を⽌めた細胞のことです。神経細胞や筋⾁細胞のほかに、肝細胞、網膜細胞などがあります。 |
プラスミド | 核の染⾊体ではない部分の遺伝⼦のかけらのようなものを指します。核から独⽴したDNAで、これを細胞から取り出し遺伝⼦治療に⽤います。治療⽤に加⼯されたものをプラスミドベクターと呼んでいます。 |
リポソーム | 細胞膜の主成分である脂質をメインとして⼈⼯的につくられたカプセルです。 |
臨床試験 | 患者さんや健康なヒトを対象として、薬や医療機器などの病気の予防や診断、治療にかかわるものについて、その有効性や安全性などを確認するために⾏う試験です。 |
レンチウイルスベクター | ウイルスベクターの1つで、⾮分裂細胞にも導⼊が可能です。⻑期にわたり安定的に遺伝⼦の発現が期待でき、安全性にも優れています。現在研究が進んでいるのはヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を⽤いたレンチウイルスベクターです。 |