医療費について
遺伝子治療は⾼額ですが、⾼額療養費制度により軽減されます
監修:自治医科大学医学部 生化学講座 病態生化学部門
教授 大森 司 先⽣
遺伝子治療は高額というイメージがあるかもしれません。2020年に登場した脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子治療薬は、薬価が約1億7000万円と非常に高額であることで注目を集めました。
遺伝子治療が高額になるのは、治療に用いる遺伝子治療薬が高額なためです。
遺伝子治療薬は、開発や製造の過程で高度なバイオテクノロジーを駆使してつくられます。⼀般的な化学合成された薬などは大量生産ができますが、遺伝子治療薬は1人ひとりに合わせてオーダーメードのようなつくり方をしたり(遺伝子治療の例参照)、複雑な製造をするため、どうしても製造コストがかかり高額になってしまうのです。
2019年には⾜の⾎管を再生する遺伝子治療薬が初めて保険適用されました。薬価は約60万円ですが、保険適用により患者さんの負担は原則3割になります(2021年7月現在)。また、医療費負担に月額の上限を決める高額療養費制度を使えば患者さんの負担はさらに安くなる可能性があります。決められた上限を超えた場合は、その超えた額を国から⽀給してもらえます。
年齢や所得によって上限額が違いますので、詳しくは厚生労働省のホームページ[高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省(mhlw.go.jp)]でご確認ください。
疾患によっては、他の制度が利用できる場合がありますので、詳細は、病院の医療支援相談室等にご相談ください。
小澤敬也 編:実験医学増刊 38(2):12, 2020
石田 幸弘:図解・最先端医療 がん遺伝子治療のことがわかる本 あさ出版:110, 2018
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html 2021/12/24参照